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浅原六郎・・永田浩幸


文化の杜、安曇野。

近代の先駆けとなった多くの芸術家や文化人たちが、この北アルプスの麓から思い思いに巣立っていったのは遠い昔のことではない。
そして今でもこの地には、清廉で、進取の気概に富んだ真理の探究者たちの精神の水脈が、途絶えることなく滾々と湧き出し続けている。あたかもこの地の下をくぐって流れる水が湧き出るが如くに。
新しい世紀を迎えようとする時、私たちは自らの足下から地域の文化の復興を考えたいと思う。素手で世界をつかみとることから、創造を始めたいと思う。理想を忘れず、たとえ一歩ずつでも前進するためには、作品の稚拙さを恥じることはしまい。私たちは自らの未熟さに誠実であり続けることをもって、創作者としての資格を手に入れようと考えているのである。書いては立ち止まり、立ち止まってはまた書く。そういったたどたどしい歩みであっても、いつかこういった足どりが確かな軌跡をを描いていくことを信じたい。

ここに発刊した「安曇野文芸」は、地域の殻に閉じこもろうとして名づけられたものではない。それはむしろ、地域から外界へと発信していく私たちの精神の起点を示すものなのである。

「溢るるものこそすべてである」かつて島崎藤村がこの地の文芸愛好者たちに与えたこの言葉をその精神の起点の中身としてこの地の文化復興の一翼を担いたいものである。



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